院長ブログ 長引くせきでお困りの方がたくさん受診されています
2026年08月18日
長引くせきでお悩みの方へ ― 「せき喘息」と決めつけず、まず原因を調べることが大切です
「風邪は治ったはずなのに、せきだけがいつまでも続く」
「せき止めを飲んでいるのに、なかなか良くならない」
「せき喘息と言われて吸入薬を使っているけれど、本当にせき喘息なのでしょうか?」
当院には、このような「長引くせき」を主訴に受診される方が多くいらっしゃいます。
せきが長引くと、「せき喘息かもしれない」と考える方も多いと思います。確かにせき喘息は長引くせきの重要な原因の一つです。
しかし、長引く咳の原因はせき喘息だけではありません。
風邪のあとにせきだけが残る「感染後咳嗽(がいそう)」
長引くせきで、特に知っておいていただきたいのが「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」です。
風邪や新型コロナウイルス感染症などの呼吸器感染症が治ったあと、感染そのものは治っているにもかかわらず、気道が一時的に敏感な状態になり、咳だけがしばらく続くことがあります。
これを「感染後咳嗽」と呼びます。
日本呼吸器学会の「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025」でも、感染後咳嗽は長引く咳の原因の一つとして独立して取り上げられています。
感染後咳嗽とせき喘息は、どちらも「せきだけが続く」という似た症状になることがあります。
そのため、症状だけから原因を判断することが難しい場合があります。
「長引くせき=咳喘息」とは限りません
長引くせきには、
- 感染後咳嗽
- せき喘息・気管支喘息
- アレルギーに関連したせき
- 鼻炎や副鼻腔炎、後鼻漏によるせき
- 胃食道逆流症によるせき
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- 薬剤によるせき
- その他の肺疾患
など、さまざまな原因があります。
また、長引くせきの中には、肺炎や結核、間質性肺炎、肺がんなど、見逃してはいけない病気が隠れていることもあります。
だからこそ、当院では「せきが長引いているから、とりあえずせき喘息の治療を始める」というのではなく、できるだけせきの原因を見極めることを大切にしています。
せきの原因を調べるために、どんな検査をするのでしょうか?
まず、せきがいつから始まったのか、風邪などの感染症がきっかけだったのか、夜間や朝方に悪化するのか、運動や会話、冷たい空気などでせきが誘発されるのかなど、詳しくお話を伺います。
そのうえで必要に応じて、
- 胸部レントゲン検査
- 呼吸機能検査
- 呼気一酸化窒素(FeNO)検査
- モストグラフによる呼吸抵抗測定
- 血液検査など
を組み合わせて診断していきます。
例えば、FeNOは気道の好酸球性炎症を評価するための検査の一つで、喘息やせき喘息を考える際の参考になります。
一つの検査だけで診断するのではなく、症状・診察・検査結果を組み合わせて、その方のせきの原因を考えることが重要です。
「なかなか治らないせき」は、一度ご相談ください
長引くせきは、夜眠れない、仕事や会話に支障が出る、人前でせきをするのがつらいなど、生活の質を大きく低下させることがあります。
「風邪のあとからせきだけが続いている」
「せき止めを飲んでも良くならない」
「せき喘息と言われたけれど、治療しても咳が続いている」
このような場合には、一度、せきの原因を見直してみることをおすすめします。
当院では、呼吸器内科の専門的な診療を通じて、長引くせきの原因をできるだけ丁寧に見極め、原因に応じた治療をご提案しています。
長引くせきを「体質だから」「風邪の治りかけだから」と我慢せず、気になる症状があればお気軽にご相談ください。